今年度活動スローガン

持続可能な漁業のカタチへ 若手漁師で作る豊かな海!
~守り育てる里海を次世代に繋げよう~

2024年度事業計画趣旨

 新型コロナウイルス感染症の5類移行後、国内では、大幅な規制緩和に伴う観光・外食意欲の高まりや訪日外国人によるインバウンドの拡大等、アフターコロナに向け着実に歩みを進めている。
一方、我々の仕事場である海に目を転じると、海洋環境の急激な変化に伴う魚種の変化や主要魚種の不漁、海のゆりかごである藻場・干潟の大幅な減少など、地球規模での問題が日本全国の浜で発生しており、我が国の水産業・漁村は、かつてないほど厳しい状況に置かれている。
そのような中、昨今、SDGsや環境保全を重視する国内外の動きが急速に加速し、藻場・干潟等のブルーカーボン生態系の持つ環境への貢献や海藻養殖の効果などが、社会的にも広く認められるようになってきた。
我々青年漁業者は、各浜で長きにわたり取り組んでいる、藻場・干潟の保全や海底耕耘、種苗放流や海浜清掃など、海の環境を守り育てるための活動を、浜のリーダーとして強化・推進するとともに、海洋環境の変化に立ち向かうため、新たな来遊魚種の活用促進や、他魚種・養殖漁業への転換・両立など、あらゆる可能性を自ら模索していかなければならない。
JF全国漁青連は、日々変化する社会情勢や海洋環境の激変等に対応し、大切な財産である豊かな海を次世代に繋いでいくため、全国の仲間たちと知恵を出し合いながら考え、活動を実践していくとともに、海の環境を守り育てる活動の強化・推進、活力ある漁業・漁村の構築、海業をはじめとした新たな取組など、自分達の役割をしっかり認識し、課題実践に努めることとする。

課題別実践活動の方向

(1)浜の改革の推進と水産政策改革への適切な対応

 新たな水産基本計画のもと、資源管理の取組をはじめ、海洋環境の変化等への対応、国の水産政策改革等について、会員との情報共有と的確な対応を行うとともに、JFグループとも連携し、海業等の多様な取組による活性化を目指すための浜プラン・広域浜プランの実践と高度化に向けた取組に積極的に参画し、全国の青年漁業者のつながりを活かして浜の構造改革を推進する。

(2)震災復興・風評対策

令和6年能登半島地震への生業復興支援を、JFグループと連携し、積極的に取り組む。

(3)組織の拡充強化と活性化

○浜プランの更なる高度化を目指し、各種事業の活用により、全国の漁業者の所得向上を図るとともに、将来の漁協リーダーなどの人材育成や、新規就業者・青年層の積極的な参画を推進する。
○全国4つの地区においてブロック会議を開催し、各地区の漁業者との情報交換、連携強化を図る。
○全国の青年漁業者を対象とした研修会の開催や、全国青年・女性漁業者交流大会等の運営参加を通じ、青年漁業者のリーダー育成を図る。
○JF全漁連役員、水産庁長官との懇談会において、浜の実態を共有するとともに、漁業経営安定対策や水産業競争力強化・成長産業化等のための諸対策の継続等、浜のニーズを反映した政策の実現を要望する。
○関係団体(JF全国女性連、JA全青協、全水普及協等)との連携強化を図る。
○漁業者が持つ国境監視機能のネットワーク構築に協力する。
○漁業者の役割について自らが再認識し活動を発信していくため、全国の青年 漁業者と情報交換を行う。

(4)環境保全・再生・資源管理への取り組み

○SDGs・環境問題への取組が重要視される中、CO2の吸収源として注目が高まっている、藻場・干潟等の保全・造成活動を強化・推進するとともに、研究機関や団体等と連携して、社会的関心を高める活動を展開する。
○各浜で行われている多様な資源管理手法および漁場環境保全方法等を伝承し、持続的な漁業を目指す。
○海洋プラスチックごみ対策
・海洋プラスチックごみの回収に継続的に力を入れていく。 ・「海ごみゼロウィーク強化期間」に合わせ、JF全国漁青連から会員に向け、一斉清掃の協力を呼びかける。

(5)青年漁業者の声の反映並びに組織の知名度アップ

次の活動を通じ、青年漁業者の声の反映に努めるとともに、組織の知名度アップを図る。
○JF全漁連役員、水産庁長官、JA全青協等との懇談会を実施する。
○ホームページ・SNS等を活用し、全国のJF漁青連のPR・情報の発信に努める。

(6)安全・安心な水産物の提供、出前授業・魚食普及活動の推進

○JFグループによるプライドフィッシュプロジェクトと連携し、水産物の高付加価値化に向けた取組や消費拡大に関する情報の発信を行う。
○小学校での出前授業やFish-1グランプリへの出展等、魚食普及活動を積極的に実施し、活動の周知を図る。
○コロナ禍での経験を活かし、オンラインを活用した出前授業や勉強会の実施など、工夫を凝らした取組を実施する。

(7)全国共通活動の推進

 次の活動を全国共通の重点実施事項として、水産庁補助事業も積極的に活用しながら強化・推進する。
○ライフジャケットの着用徹底、安全講習会等への積極的な参加に努めるとともに、各浜における普及・啓発活動を強化し、漁業の更なる安全操業を推進する。
○藻場・干潟の造成や保全等、海洋環境の保全・回復に資する活動を推進する。
○浜プランの実践に積極的に参画し、自立した漁業経営の構築を目指した、経営改善促進への取組を推進する。  
○JF共済・漁業共済・漁業者ねんきんの加入を促進する。

(8)その他

 「漁業者による海洋環境変化モニタリング事業」(日本財団助成事業)に おいて、データロガーを使った海水温データや海洋生物・海況の変化等について情報収集を行い、科学者・研究者と協力体制を構築しながら、海洋環境激変に対する緩和策・適応策を見出す。