あけましておめでとうございます。年頭にあたり、全国の皆さまに謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
振り返りますと、昨年はJFグループの歴史の中でも極めて厳しい1年となりました。新型コロナウイルスの感染拡大、海洋環境の変化に伴う記録的不漁、漁業用燃油価格の高騰、北海道太平洋沿岸における赤潮被害や沖縄県・鹿児島県等沿岸における軽石漂着被害などを受けて、浜では産出額が落ち込み、生産の基盤となるJFの経営においても売上高、営業利益が減少し、影響等の長期化が懸念されております。
そのため、漁業者ならびにJFグループでは、新漁業法の下、新たな資源管理の推進をはじめ、自ら改革を実践し、成長産業化を成し遂げるために、諸対策の確立を関係要路に強く要請しました。その結果、要望事項を網羅するかたちで、4年連続で3,000億円を超える予算を確保しました。ここに改めまして、会員並びに関係の皆様のご協力・ご支援に対しまして御礼申しあげます。
さて、本年は新たな水産基本計画の策定の年にあたります。我々漁業者は、改正漁業法に基づく新たな資源管理の推進等について、自らの課題として取り組んでいく必要があります。併せて、漁業の成長産業化と資源管理の2つを両立させ、近年顕著となっている海洋環境の変化を十分に踏まえた上で、新たな資源管理や栽培漁業を推進していくことが重要です。これらを踏まえ、我々は、浜の改革と資源管理の実践者である漁業者の理解と納得を得た上で進めていただくよう、国に対して求めていく所存です。
併せて、昨年度から取り組んでいるJFグループの運動方針に則り、新たな資源管理を前提とした世代交代の円滑化と低年齢層での自立が行われる循環型の生産構造を目指すほか、担い手育成、合併等組織再編、産地市場統合、販売事業改革、浜プランの後押しなどに取り組み、浜の構造改革を実現して参ります。
今後も新型コロナウイルスとの戦いは続き、この脅威と向き合っていくには国によるコロナ対策・支援が不可欠です。JFグループでは、漁業全体が失った販売先・販売量・魚価を回復させるため、国が策定した対策を引き続き活用するとともに、プライドフィッシュプロジェクトや産直通販サイト「JFおさかなマルシェ ギョギョいち」などを通じて、国産水産物の消費拡大の一翼を担って参ります。
また、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の問題については、本会の「漁業者・国民の理解を得られないALPS処理水の海洋放出には、JFグループとして断固反対」という立場に変わりはなく、引き続き国としての対応を強く求めて参ります。
会員をはじめ、関係者の皆様におかれましては、これまで以上に英知と総力を結集していただき、漁業の成長産業化に向けて、引き続きのご理解・ご協力を頂きたくお願い申しあげます。
最後になりますが、全国各地でご活躍の皆様の操業の安全とご繁栄・ご健勝を祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。
2022年1月
全国漁業協同組合連合会
代表理事会長 岸 宏