「新年のご挨拶」
あけましておめでとうございます。年頭にあたり、全国の皆さまに謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
振り返りますと、昨年も多くの自然災害に見舞われた1年でした。その中でも、1月に発災した令和6年能登半島地震は記憶に新しく、漁業者の大切な生活基盤である漁港がこれまで経験したことのない地盤の隆起により、甚大な被害を受けました。本地震の被害に対し、皆さまには募金や物資の支援などについて多大なご協力を戴いたところですが、被災地では今も漁業関係者のみならず地域住民が一丸となって復興に向けて尽力しており、本会では引き続き皆さまのご協力を得ながら、一日も早い復興に向け、支援して参る所存です。
このほか、私たちの生業の場である海の環境は、変化の一途をたどっており、海水温の上昇などの影響を受け、前浜における漁獲魚種の変化や漁業生産量の減少が顕著となっています。海洋環境は今、「激変の時代に突入した」と言え、JFグループは、この海洋環境の激変に立ち向うべく、自らの役割、使命が大きく問われています。
そのため、我々は昨年12月に全国から約1,000人のJF代表者が参集した「JF全国代表者集会」を開催し、「漁業者を支える事業・経営改革の断行」、「組織基盤の確立」、「浜での中核的役割発揮による漁村・漁業への貢献」の3つの取り組みを柱に据えた今後5か年の新たな運動方針をJFグループ総意の下、採択し、総力を挙げて、JFの自己改革を断行することを決議しました。
私自身、日本の漁業にはポテンシャルがあると確信しており、これからの5年間は、まさにそのポテンシャルを引き出す時だと考えております。JFグループは、新たな運動方針の下、海洋環境の激変や資材価格の高騰、ALPS処理水の海洋放出に伴う海外における水産物の輸入規制など、山積した課題や困難を克服し、漁業者の所得向上を図るとともに、持続可能な漁業経営と水産食料の安全保障をはじめとした漁業者・国民の負託に応えるべく、組織の総力をあげて取り組んで参ります。
そして、我々は日本の海や漁村の地域資源の価値や魅力をさらに活用・発信して、地域の賑わいや所得と雇用を生み出すことが期待される「海業」の振興などとともに、「浜の活力再生プラン」を推進して参ります。併せて、プライドフィッシュプロジェクトなどを通じて、国産水産物の消費拡大の一翼を担っていく所存です。
JFグループ関係者の皆さまにおかれましても、これまで以上に英知と総力を結集していただき、本会の活動に対して、引き続きのご協力・ご賛同を頂きたくお願い申しあげます。
最後となりますが、漁業の豊かな将来を念じつつ、全国各地でご活躍の皆さまの操業の安全とご繁栄・ご健勝を祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。
2025年1月
全国漁業協同組合連合会
代表理事会長 坂本雅信